今後の裁判日程





第10回口頭弁論


今回、原告側準備書面の提出が、都合により当初予定の5月末日から6月初旬になったので、反論としての被告側準備書面の提出はありません。原告代理人の口頭での補足説明に対して、後にニコンから口頭での反論がありました。
原告側は、控訴審での主張がベースであること、産業衛生学会の労働基準を基本にしていることを説明しました。
原判決について、業務過重性の視点を時系列に整理し、書面末尾添付表にして説明しました。総括的に原判決は概ね妥当であり、さらに産業衛生学会基準違反やアテストによる引越指示、ソフト検査の「実習」ではなく「業務」など、考慮すべきと主張しました。

厚労省の判断指針について、判例を示し、「判断指針」のみにとらわれずに、その他の医学的知見(本件では産業衛生学会基準など)も十分考慮し、判断するよう主張しました。ライフイベントより慢性の疲労(ストレス)、昼夜交代勤務などが元であるとする考え。

予見可能性について。基本的には、本人が体調を崩していると認識する必要はなく、体調をくずしているのに気付いてからでは遅いと主張。原告の主張は、電通事件最高裁判例解説をしている裁判官の考え方と一致している。
ニコンの出したパンフレット(交代勤務)にあるとおり、夜勤労働の辛さを会社は認識していた、使用者としての責任がある。

前回のニコンの書証(乙126・・予見可能性などに関する学者の意見)に反論をし、当該学者の経歴を書証(甲187)として提出しました。市販の判決文以外に詳細な意見・書面等参考にしていない点、本人の経歴等から労働法の専門家でない点などを指摘し反論しました。

裁判長から、「安全配慮義務違反について、合わせ技できていると被告側が主張している。原告側としてはそれぞれの時点で何をするべきだったと主張するのか」と聞かれました。
川人代理人は、産業衛生学会の基準を基本にしていくことを強調しました。

裁判長はニコン、アテストに反論の準備はあるかと聞きました。
ニコンからは牛嶋代理人が、基本的な考え方がまったく違う、詳しくは書面で答えると説明しました。単発で起こったものもずっと影響すると捉えているが、それは考えられないし、さらに昼夜交代勤務に入れば体調を崩すものだとする考えも受け入れられない。
産業衛生学会基準に違反すれば必ずうつとなるものなのか。予見可能性はうつの可能性についてのことだが、うつが自殺に至るかどうかと、うつになるかとは別の話、それを抜きには論じられない。
  裁判長からはニコンに対し、反論の書面を提出するよう話がありました。

原告側から、勇士の上司Hy氏が既に亡くなっていることを書証として提出しました。(甲186証)。前々回、平成19年1月18日の証人尋問でニコン社員(総務・人事担当者)N氏が「Hyさんは亡くなっていない・・、どこの職場にいるかはちょっと今うろ覚え・・」「・・亡くなったという記憶は全然ありません」と言ったことは事実と違う。この点について、ニコンからは反論があるという答えが返ってきた。アテストからは1審判決の細かい点で反論があるという主張があり、裁判長から次回、被告側に書面を提出するよう話がありました。

被告側は7月末を期限として主張をまとめる。8月は裁判所の夏休みも入るので、次回裁判は9月になること等が決まりました。原告は被告から提出された書面に対し、口頭での反論を準備するよう裁判長から話がありました。その折の準備書面はあとでもよいことになっています。