控訴審
控訴審判決 イラスト



●開廷前●
外は雨模様、後で聞いたところでは傍聴抽選の直前に一時的に豪雨になったそうです。並んだ人達はこの雨は・・・といろいろな思いを馳せたといいます。後で思えばドラマチックな幕開けでした。
午後1:45 原告・弁護団入廷
【書記官】
原告・弁護団が入廷する前にすでに準備を始めて下さっていました。その横で廷吏の方もお仕事を始めていました。
原告
【原告】
私はきょろきょろと徐々に入廷してくる傍聴者を確認していました。みなさん入廷できるだろうか、一緒に判決を聞いてもらいたい
午後1:55 係の方が中を確認しています。今回は男性2名、女性1名の方々です。
午後1:56 突然、涼やかな音の携帯電話のコール音が鳴り始める。どなたでしょうか。なかなか消えない、あせっているのかもしれない。
午後1:57 被告弁護団、一斉に入廷
傍聴者も大勢入廷
午後1:58 長男(勇士の兄)の入廷を確認
【係の方】―法廷の中へ
「裁判所からのお知らせです。審理の妨げとなりますので携帯電話はお切り下さい」
午後1:59 法廷の扉が閉められる―
―だれもいない部屋のよう。ものすごい静寂―
午後1:59 ニコン代理人最後の一人、入廷
―再び 静寂―
午後2:00 判決予定時刻―静寂のまま経過
午後2:01 経過―
午後2:02 2:03 傍聴席からかすかに音・音―時計を見ている、身じろぎしている
午後2:04 10ヶ月待ったことを思えば、これぐらい。今日なんだから・・。
午後2:05 かすかな足音、壇上のドアが開いて。裁判官の入廷

●開廷●

【廷吏】

「起立願います」「礼!」


都築弘 裁判長
【都築弘 裁判長】

(イラスト担当者は、思わず判決に聞き入りました。手は完全に止まったと言います。とんでもない役目をすみません。判決聞きながら描くなんて神業です)
「『平成17年(ネ)第2265号 損害賠償控訴事件 控訴人 上段のり子 被控訴人 株式会社ニコン 株式会社アテスト』の判決を言い渡します」

―判決は大きな声でゆっくり、そしてとてもはっきりした言い方で始まりました。初めて法律用語を聞く人達にも言葉はよく聞き取れたと思いました。

「1. 一審被告ニコンは、一審原告に対し、一審被告アテストと連帯して7058万9305円及びこれに対する平成11年3月6日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。」

―金額を聞いて、勇士の減額がなくなり、父親の遺産相続放棄が認められたことを確信しました。でも。続く言葉の中に、

「・・一審原告の・・その余の請求をいずれも棄却する・・」が何度か出てきます。と・・いうことは・・?!
何を棄却された?どういうことですか? 確認したくて、そうっと左隣にいる川人弁護士に目をやりました。

すると。素晴らしい笑顔です!!
この瞬間を傍聴席も見逃しませんでした。
「勝った!!」―傍聴席から声が上がりました。
私はと言えば、いきなり勇士の死に顔をクローズアップさせて固まっていました。喜んでもらっている中で泣くのはやめたい、こらえるのに全エネルギーを使って。

地裁判決の時は、3割悪いと言われて固まり、高裁の素晴らしい判決でもやっぱり固まりました。説明不能です。

【平林慶一 右陪席裁判官】
傍聴席、向かって左側の裁判官です。今回初めて拝見する方でした。
以前までの園部秀穂右陪席裁判官は、今年の1月1日付で異動されました。
聞いた時には心底驚きました。「私の判決どうなるのですか?」

【小海隆則 左陪席裁判官】
傍聴席、向かって左側の裁判官です。昨年の9月の結審で、裁判長が和解勧告を出した時に、「小海裁判官に受命します」と告げました。その後の非公開、和解の話し合いでは、大変お世話になりました。

【書記官】
開廷前から開廷中、本当に忙しそうでした。




●報告会(その1)●判決終了後から弁護士会館に行きました。

報告会(その1)
原告
【原告】
まだ弁護士さん方は、来ていません。判決文を第24民事部の部屋に取りに行って、コピーしたり分析したりする時間です。その間に皆様に自分の今の気持なりをお話ししていました。
【原告と支援者】
話している時にお隣にいた支援者の方。ヘアスタイルと位置から言って、雨宮処凛さん。
川人 弁護士
【川人 弁護士】
大急ぎの分析結果を携えて、報告会場に来ていただきました。
「勝ちました!!」 
皆さんから大きな拍手と声が起こりました。
本当に良かった、本当に良かった、もう私も固まってはいません。
年5分による金利は総額で約一億円を超えることも知りました。
この後、弁護士さんはのんびり出来ません。記者会見の為にもう一度詳細な検討に入る時間が必要で、報告会場を後にしました。
島田 弁護士
【島田 弁護士】
急遽の判決日指定だったので、他の弁護士さん方に支障が出ました。判決に出席できない方、報告会その1に出られない、逆にその2に出られない方、都合をつけられた島田弁護士がその1に入って下さいました。この後、川人弁護士と共に、会見準備に向かいました。

●報告会(その2)●―記者会見終了後。午後5時〜

原告 福岡弁護士
【原告 福岡弁護士】

川人弁護士はまだ到着していません。
会見の時に、原告が話した10分弱のコメントを皆さんに聞いていただきました。
このコメントは、判決がどのようなものであっても、お話ししようと思っていました。判決によって考えが変わることも、中で述べられていることが変わることもない、そう思っていました。
判決がとても素晴らしかったので、当日はコメントも大きな力をもらいました。
原告 川人弁護士 福岡弁護士
【原告 川人弁護士 福岡弁護士】

川人弁護士が戻ってきました。その1より詳細な内容報告がありました。
この頃になると、判決文も話の中にかなり具体的に入ってくるようになりました。私はまだ読み込んでいませんから、真剣に聞いていました。

福岡弁護士には、この裁判の最初から入っていただいて、控訴理由書も手がけていただきました。突然の判決日指定で、判決の言い渡しにはお出でいただけません。報告会でお会いできてほっとしました。

大森弁護士 原告
【大森弁護士 原告】

大森弁護士もこの日はこの報告会の後に別の打ち合わせが入っているということでした。お世話になった山下弁護士にはこの日お会いすることはできませんでした。みなさん、本当に忙しい日々なんだと思いました。

―この後、みんな最後の集会に急ぎました― 
私も皆さんも、もうエネルギー切れ寸前。走るようにして出かけました。
「素晴らしい判決、万歳!!」